『大職冠』第五段

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大職冠

 第五段

その後、都に戻り成長した藤若丸は、右大臣となり名を房前(ふさざき)と改めました。
自分になぜ母がいないのかを不思議に思い家臣に尋ねますが、
唯一、母が志度の浦の出身であることだけを告げられます。
志度の浦に向かった房前は、そこで出会った若い海女から、
昔、竜宮城から玉を取り返し、そのまま息絶えた海女の話を聞き、
その海女こそが母であることを知ります。
若い海女は「この私は、あなたの母の霊なのです」と告げると、
目の前から姿を消してしまいました。
すると、そこには古びた木の墓があり、房前はお墓にすがりつき嘆き悲しみました。
誰にも供養されず、墓は朽ち果て母の霊は悲しみに暮れていたのでした。
房前は、僧侶を集めてお経をあげ母の霊を弔いました。
すると、母はようやく成仏し観音となり天へと登って行ったのでした。
 
 

おしまい

 


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